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  • 千原ジュニア著「14歳」の読書感想
    2018.1.10千原ジュニア著「14歳」の読書感想

    千原ジュニアとは、よしもとクリエイティブエージェンシーに所属するお笑い芸人です。兄・せいじと千原兄弟という兄弟コンビを結成しています。今や、テレビに欠かせない出演者の一人です。「14歳」はそんな千原ジュニアの芸人になるまでを綴った自伝的小説です。

    ひきこもりだった過去

    千原ジュニアはひきこもりでした。ただ単にひきこもりと家族との話と聞くと、ありふれたもののように感じますが、違います。彼は孤独でした。孤独な戦いは非常に過酷なものでした。千原ジュニアは繊細すぎる人間なんだと思います。そもそも人がひきこもる理由はさまざまだと感じます。「いじめられて居場所がなくなった」「家庭環境」「外の世界に対する不信感や抵抗」などです。そのすべてが繊細すぎるが故に起こることなのだと思います。世間やメディアは不登校、ひきこもりを「問題児」であると捉え、シャットアウトしがちです。それは子どものためにならないでしょう。問題が起きた背景を考えずにその人自身を異端として排除するような考えはよくありません。千原ジュニアのような才能にあふれ、頭の回転のよい、成功した人間がひきこもりであると明かすことは勇気がいることでしょうが、世の中のひきこもりの光となるはずです。さらに千原ジュニアはそんな過去を笑い飛ばすことでポジティブなものとしたのです。これは大変評価できることだと深く感じます。

    弟を救った兄

    千原ジュニアの相方・せいじは実の兄でもあります。繊細な千原ジュニアとは全く性格が違いがさつで適当だと広く認知されています。そのような兄は弟を救ったのです。ひきこもりの千原ジュニアを外の世界へと連れ出し、自立のキッカケを与えたのは兄のアイデアでした。せいじはよしもとの養成所・NSCに通っていたので、その授業を見に来ないかという名目で連れ出したのです。千原ジュニアが外で見た景色はすごいものだったはずです。人生をかけて笑いと向き合う覚悟をした若者たちが真剣に笑いを作っている姿でした。人を笑顔にするために人生をかける姿は誰が見ても熱く、すばらしいものです。千原ジュニアはお笑い芸人になる決心をしました。ひきこもり少年の一大決心です。このシーンにはとても兄の優しさと思いが詰まっていると思い、感動しました。

    千原ジュニアからのメッセージ

    千原ジュニアはこの「14歳」という小説を出版した時期に、千原兄弟として「15弱」という単独コントライブを開催しています。私は、このライブがひきこもりだった少年の悩みに悩みぬいた日々の結晶だと思うのです。「15弱」にはさまざまなキャラクターが登場します。そのひとつひとつが独創的で、彼の頭の中を覗いている気分になります。中でも「マスカ!?」という作品には驚きました。美談を美談とすることの危うさを表現した作品です。「14歳」を美談として捉えるのではなく、誰にでも起こりうる葛藤であると、そう伝えているようにも感じました。

    ひきこもりや不登校など少年少女の抱える問題は社会問題化してきています。ひきこもっている子どもを外に出すことは難しいですが、それを無理やり行っては駄目です。心から寄り添って悩みを聞き、その頭の中に描かれた世界をわかってあげられる愛が必要なのだと気づかされました。また、14歳前後は誰しもが悩む時期です。誰かの悩みを聞いてあげられるような深い心を持ちたいと実感しました。