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  • 小説だけじゃない!村上春樹のエッセイ、旅行記の魅力
    小説だけじゃない!村上春樹のエッセイ、旅行記の魅力

    新刊を発表するたびにテレビや新聞などで話題にあがる村上春樹さん。ノルウェイの森や1Q84など長編小説が村上作品の真骨頂ですが、実はエッセイや旅行記におけるちょっと脱力したユーモアあふれる文章にもたまらない魅力があります。

    日常の一コマから独自のワールドへ

    村上春樹さんのエッセイでは、普段生活している中でふと感じた疑問や気になること、かつて暮らしていた土地でのちょっとした出来事や不思議な体験などが独自の視点で語られています。きっかけは好物のドーナッツだったり、暇だからたまたま訪れた動物園だったりと普段の暮らしで起こることが多いのですが、そこからドーナッツの穴がいつ発明されたかという話へと展開していったり、長いことお互いの顔を直視し合ったライオンは果たして自分の目の中に何を探していたのかと考えを巡らせたりと、ちょっと意外な方向へと話が広がっていきます。ひょうひょうとしていながら、思わずこちらがくすりと笑ってしまうようなユーモアのセンスが感じられる文章はクセになり、ついいつまでも読み続けてしまう人も多いのではないでしょうか。

    緩急を心得た読者とのやり取り

    かつて村上春樹さんは村上朝日道というホームページを開いていました。そのページ上では読者からの質問メールに答えるやりとりメールが公開されていて、いくつかは書籍になっています。文芸評論家の批評をどう思うか、作品の推敲は画面上で行うのか、などといった真面目な質問から、サンドイッチは縦から食べるか横から食べるか、アイロンをどうしたら上手にかけられるようになるか、などたわいもない質問までその内容は多岐に渡ります。時に真剣に回答したり、時にユーモア交えて面白おかしく回答したりと、その緩急を心得た読者とのやりとりはまさに絶妙。村上朝日道のホームページが閉鎖されたあとも期間限定の新たなホームページで読者とメールのやりとりをするなど、読者との交流シリーズが根強い人気があることを物語っています。ファンにとっては直接村上春樹さんから返信をもらえるチャンスということもあり、次の機会を待っている人も少なくないかもしれません。

    変なモノを語る絶妙な表現

    村上春樹さんは旅行記もいくつか出していますが、特にユーモアがあふれていて面白いのが東京するめクラブによる「地球のはぐれ方」です。東京するめクラブのメンバーは村上春樹さん、写真家の都築響一さん、エッセイストの吉本由美さんで構成されていて、この三人でちょっと変な場所へ行くというのがコンセプトでした。それぞれ独自の視点を持つ三人があれこれやりとりをする様もさることながら、大都市でありながら独自の固有性を持った名古屋という土地について真剣に考察しつつ、名古屋のB級グルメについての感想を忌憚なく書き記す村上春樹さんの文章は、思わず笑ってしまうとともに、なるほどとこちらを納得させてしまう説得力があります。ちょっと変な場所やモノを旅行記の対象に選ぶあたりにもユーモアのセンスが感じられますね。

    素敵な文章に触れた瞬間はまさに「小確幸」

    村上春樹さんはたびたび「小確幸(しょうかっこう)」という言葉を使います。村上春樹さんの造語だそうですが、「小さいけれど確かな幸せ」という意味だそうです。村上作品のエッセイや旅行記でのユーモアあふれた素敵な表現を目にしてほくそえんでしまう瞬間は、まさに「小確幸」。小確幸の積み重ねが人生を豊かにする秘訣なのかもしれません。